2009年12月29日火曜日

天使いろいろ

  紙コップ、スチロール製のボール、厚紙等を使いクリスマスに合わせ天使を制作しました。
ひもが通せるようになっており、先には鈴が付いています。
つりさげて、空飛ぶイメージで。ひもにはビーズや、短く切ったストローなどを通しています。












こちらは紙コップを三段重ねた大型タイプ。翼などに貼ってあるのはスパンコールです。
金や銀の絵の具、ビーズ、キラキラ光るものは子供たちのテンションを上げます。実際ににキラキラ素材を使うと、集中する時間が長くなります。



天使のような、想像上の存在を作ると、年齢の低い子ほどオリジナリティにあふれ、年齢が上がるにつれて一般的な天使のイメージに近づく傾向があるようです。








2009年12月12日土曜日

場面とストーリー


                3歳児作品 色画用紙、ペン サイズB3

猫と立体感ある塀、それらの要素から自由にイメージを膨らませ制作してみました。

                4歳児作品 色画用紙、ペン等 サイズB3

猫同士の家族構成や、何をしている瞬間なのか等、制作しながら、ストーリーが膨らんでいきます。
                4歳児作品 色画用紙、ペン サイズB3
わずかな要素から物語を膨らますことができるのが、子供の特徴です。空想の世界に素早く移動できるのが良いところ、しかし気まぐれでお話も途切れやすくもあります。
ストーリーを持続させるための、猫や塀、固有の色、そこから得られる画面内の空間。
普段自分で描く世界よりもちょっとだけ現実感のある具体的なヒントを与えると、子供たちの創造力は加速するようです。
                4歳児作品 色画用紙、ペン サイズB3
思いついたことをすべてしゃべりながら作る子もいれば、黙々と手だけ動かす子もいます。

                4歳児 作品 色画用紙 ,ペン サイズB3
形を描く、作ることに目が行きがちですが、並べる、そこに意味を持たせるといったことも、アートの重要な要素です。




2009年11月17日火曜日

並べてできる

街の景色 3歳児作品 厚紙、絵の具など 35×32×4(cm)


箱の中に半立体のビルと、ポップアップ形式の車と人を配し街の景色を作ってみました。

街の景色 4歳児作品 厚紙、絵の具など 35×32×4(cm )

ビルは斜めから見た、建物の二面が見える形。その前に人と車を配置するので、自然と絵の中に重なりができます。制作したのは3から5歳の子供たち。この年代の子供の絵では、まだ物は並列に描かれ
重なりがありません。物の重なりを形式から体験してみるための作品です。

街の景色 5歳児作品 厚紙、絵の具など 35×32×4(cm )
人を配置する位置、人同士の重ね方、背景の鳥の貼り付け方など、同じパーツを使っていても並べ方
によって画面の雰囲気が変わることがわかるかと思います。


街の景色 5歳児作品 厚紙、絵の具など 35×32×4(cm )

大人から見ると、何が描けるかというところに目が行きがちですが、絵を作っている要素は、形を描くだけではありません。色、バランス、空間の把握等様々な要素がからんでいます。子供の興味はそれらにもおよび、並べ方に細心の注意を払う子もいます。

街の景色 4歳児作品 厚紙、絵の具など 35×32×4(cm)
この作品ですと三人の人が手をつないでいます。配置の仕方によってもの同士に関係性が発生するという発見は、ちょっとした遊びから生まれます。




2009年11月11日水曜日

偶然が作る


                3歳児作品 サイズB4

絵の具を霧吹きに入れて、動物等のステンシルを使い描いたものです。
絵の具の垂れ、にじみが思いもかけない色を生みだしました。
                3歳児作品 サイズB4
絵を描く面白さの一つに、こういった偶然に出会うことがあります。
意図したものとは違うが、これでよいのではないか、そういった判断を楽しめると制作は無限の広がりを持ち始めます。
                3歳児作品 サイズB4

子供の優れている点の一つに、偶然に対する寛容さ、探究心の深さがあります。
大人に比べより感覚的に判断を行うことができるといえます。
とくに6歳くらいまでの間に、こういった感覚を十分に解放してあげることはとても大切だと私は考えています。

                3歳児作品 サイズB4
子供は制作から何を発見したのか、客観的に説明することはできませんが、目の前に起こった現象から多くを吸収し、それをストックしているように思います。
ストックはやがて言葉を得て、様々な感覚や知識として本人と周囲に認識されていきます。

                3歳児作品 サイズB3
意味を求めることなしに、絵を描くことができるのは人の一生のうち子供の時だけで、子供の時にしかできないことを追求してみることを私のレッスンではテーマとしています。

                      2歳児作品 サイズB3
技術は後から訓練することでいくらでも覚えることができます。
しかし偶然を呼び込む勘や、そこから何かを感じ取ることは子供の時にこそ覚えるべきではないでしょうか?ある種の気まぐれさが、美術の大きな魅力でもあるのです。














2009年11月7日土曜日

女の子、男の子


お母さん 4歳児作品 段ボール、絵の具 42×30cm

顔は子供の絵に良く表れるテーマの一つです。女の子は自分やお母さん等女性の顔を、男の子はやはり男性の顔を描くことが多いようです。

お母さん 4歳児作品 段ボール、絵の具 42×30cm
性別を髪型、アクセサリー、服装、背景などで具体的に描き分けるようになるのは、4歳くらいからでしょうか、絵の記号としての側面を理解しだすのがこのくらいの年齢なのかも知れません。

お父さん 5歳児作品 段ボール、絵の具 42×30cm
もうひとつ自分と同性を描こうとする理由として、誰を描いても自分の顔に似てしまう、という理由があるのではないかと考えています。これは大人でも同じです。特定のモデルを前にして絵を描いていてもどこか自分に似てしまう、ということは良く起こります。ちなみに顔だけでなく、全身の絵を描いていると体の各部分、たとえば関節の形や、筋肉の付き方なども自分の体形というフィルターを通して見た他人の形、という具合に似てくるのです。
お母さん 4歳児作品 段ボール、絵の具 サイズ42×30cm
これは自分の姿形が一番良く見て、触れて知っているからではないでしょうか。知っているものを頼りに知らないものにアプローチする、良く考えれば当たり前なのかもしれません。




2009年11月2日月曜日

見る/見られる


お面 厚紙、発泡スチロールなど、 約55cm 5歳児制作

お面を作りました。お面をかぶると、自分とは違う何かになれるということは、2歳すぎから理解するようです。鏡へ対する興味とも関係がありそうです。


 お面 厚紙等、約60cm、3歳児制作

絵を描いた結果、それが自分にとって良く分からないものになると、「これ”おばけ”」と子供は良く言います。整理しきれない内面が、お化けのように出てきた、と言っているように私には思えます。




お面 厚紙等 約60cm, 3歳児制作

常に人に見せる、見られることを前提に意識的に絵を描くようになるのは、五歳くらいからのようです。これは言葉の発達とも密接に関わるでしょう。

見せるためでなく、自分の心の中を覗くように絵を描く1~4歳くらいの子にとって、お面という形式はとても良く合っているように思います。自分の行った痕跡がすべて顔として見えてしまうからです。自分で作ったら怖くて顔に着けれないなんて子もいます。

2009年10月30日金曜日

北区立滝野川東デイホームでのワークショップ

普段は子供おもに1.5歳~6歳くらいの子供へのアートレッスンを行っていますが、不定期で2001年から福祉施設などにお邪魔して、お年寄りとのアートワークショップも行っています。
今年の八月に行った、北区滝野川東デイホームでのワークショップが、アーツアライブホームページ
紹介されています。アーツアライブは福祉施設などで美術、音楽などのワークショップを行っている特定非営利団体です。リンクに追加しておきます。

滝野川東デイホームの入る建物には児童館、学童保育も入っており、そちらから小学生も合流し20数人で、近くを走る都電荒川線をモチーフにしたステンドグラスを制作しました。


みなさんとても熱心であっという間の2時間弱、カラフルに様々な都電が走っていますが、制作している人の年齢差が実は60歳くらいあるのは不思議ですね。
これまで様々なお年寄りとのワークショップを行ってきましたが、お年寄りは実はパンチのある強い色を好む傾向があります。お年寄りの施設はペールトーンの淡い色遣いのインテリアが多いので、そのコントラストがいつも印象に残ります。



2009年10月28日水曜日

アートの気まぐれ

             恐竜 2歳児
だいたい2~3歳くらいになると、具体的な形(他人から見てなんだかわかるもの)を描くようになります。
描くようになるときは、ほぼ偶然で、それまで無意識に描いていたものの中に自分で何らかの具体的な形を発見する、というパターンが多いようです。
             おうちと太陽 3歳児
つまり描こうとするテーマよりも前に、何か描いているというのが子供の絵の面白いところです。
形を発見するということは、絵を他人に見せると、見た人がなんだかわかるということを理解することでもあり、客観性の始まりとも言えるかも知れません。

             観覧車 4歳児

パパと言って描いていた人物が途中からママに変わったり、外の風景がやっぱり家の中と変わったり、絵を描くプロセスは実に気まぐれです。途中で変えることができるというのは子供にとって絵を描く魅力の一つなのかも知れません。

              地下鉄 5歳児

素晴らしい発想と技術が、素晴らしい作品を生むのではないところが、アートの面白いところです。作品を作るときには、真剣さとでたらめさがどちらも必要です。子供の良いところというのもその二つのように思います。

2009年10月27日火曜日

ドングリ大漁です

アートレッスンの野外編で週末に新宿御苑へ行きました。
木の下にはドングリが大量で、両手でかき集められるほどです。
拾っている最中にも落ちてきていました。
ハロウィーンが近いこともあり、かぼちゃ型のドングリボックスを制作。


箱部分は、既成の木の箱、厚紙で仕切りを作り、ふたの部分はオリジナルです。
目鼻口の部分は透明プラ板で中が見えます。

拾ったドングリが全部入りきらないほど。
芝生の上で裸足でする工作はとても気持ちよいです。



もう一つの工作は拾った小枝、ドングリ等を使ったフォトフレームです。

絵の具でペイントの後、枝などを貼り付け、色砂、グリッター、模型用パウダー

等も使っています。

自然の小枝や葉っぱの色は意外にどんな色とも良く合います。






今まで何度か野外でのアートレッスンを行っていますが、外で思いっきり走りまわった後の子供の集中力は普段に比べ、とても良くなります。
街中ですと自然が自然にあるわけではないですが、
どんぐりに限らず、虫や、落ち葉、小枝、風
様々なものに子供は敏感に反応し、興味を示していました。


こういったアートの制作が
自然とかかわりを持つきっかけ、
になると良いなと考えています。
日が暮れるまで走り回り、クタクタ。

解放感が想像力も刺激するようです。







2009年10月16日金曜日

下から見ると

”秋の木” カラーフィルム、スチロール棒、厚紙、 サイズB4、 3~4歳
子供が実際に物を見てそれを写し取ろうと試みるのはだいたい5~6歳になってからといえます。
それまではいわゆる写生を行うという考え方自体がなく、絵を描くときにモチーフを必要としません。
たとえば3歳くらいの子に実際に木を見せて、その木を描くかといえばそうではなく
それぞれが頭の中にある自分の知っている木を描きます。
紅葉という言葉は知らなくてもこの時期
いつも緑の葉っぱの色が変わり、はらはらと落ちたりするということは
何となく気づいているようです。

木を見上げると、葉の重なりは実に複雑な緑のグラデーションを作り
色が太陽の光なしには生まれないことを実感させてくれます。
様々な色のカラーフィルムの重なりによって起きる色の変化に、子供たちは興味津津。
目に近付けて色の変化を楽しみます。

写すことに縛られないがゆえに作れるものがあります。
それが作れるのは4歳くらいまで
おそらく人が生きている間でその時だけです。
大人よりも低い視点から見る木
想像すると物の見方がすこし変わります。
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