2014年3月19日水曜日

こわいもの見たい、見せたい。


冷蔵庫に潜む全身から血を濁流させる妖怪「イルセンチル」。
「妖怪を考えてみよう」というテーマで絵を描き、設定を決め、粘土で形を作り、更に段ボールで妖怪の隠れている冷蔵庫も作った作品です。家で年下の兄弟が本気で怖がる姿が面白くて仕方がないようで、ニコニコしながらその姿を話してくれます。
人が怖がってくれるということは子供の想像力を強く刺激するのか、制作途中でも
「血が全身から流れるなんて怖い。」
「これが家にいたらひっくり返る。」
と言うと更に怖くしようと様々に趣向を凝らして行きます。

子供が恐ろしいことを考えているのは心配に感じる人もいるかもしれませんが、
絵を描いたり、ものを作っていたり感覚が開かれているときには、お化けや妖怪などの目に見えぬもの、火事や交通事故などの災害とそれに伴う死などを描いたり作ったりする子供は多いです。
結構楽しそうに作っている姿は不気味でもありますが、お化けは恐いと思っていますし、
誰かがけがをしたり亡くなったりすることはかわいそう、と年齢に応じて感じてはいます。
しかし自分の作っている作品の世界にもその価値観を当てはめる必要性を感じていないのが子供です。かわいそうと作っていて楽しいは、別にしているのが子供の普通です。



これはテレビでウツボの生態を見ていて、その中で「ウツボの口の力は人の指をかみ切ってしまうほど強い」という説明を聞いた子がその様子を作ってみた作品です。ちなみにウツボが人の手に噛み付いている映像はテレビで流れていないので、これは説明の言葉から想像して形を作っています。
血の流れ方などはかなりリアルでとても集中して作っていましたが、作っている本人は
ウツボのことをとても怖がっていて、もし海で出会ってしまったらどうすれば良いのかと本気で心配していました。
怖いのに何故作るのかと不思議ではありますが、怖いから作ってみたい、見てみたいと感じるのが子供の、人間の性と言えるかもしれません。


博物館などに行くと、古今東西戦争の絵はたくさん描かれています。古さであまり気にしていませんがグロテスクな表現も散見します。また幽霊や妖怪、悪魔など目に見えぬ不吉なものを形にしてみたいという欲求は綿綿と受け継がれています。
怖さはものを作るエネルギーと密接しているともいえるでしょう。


これは映画ジョーズをUSJでアトラクションで体験した後、実際にDVDで鑑賞した子がジョーズが人に襲いかかった後の海中での様子を描いたものです。血に染まる海はかなりショッキングだったようでかみ千切られた人の体が海底に沈んでいます。ここまで想像して描くのはたいしたものだなぁと感心していたのですが、描いた本人はちょっと怖すぎたかもしれないと困惑していたのが興味深かったです。
この絵を描いたのは10歳の小学生でしたが怖すぎたと感じるのは、描いたあとに客観的に、自分の作品を社会一般の規範の中に当てはめようとしているからだと思います。
このような判断は7、8歳くらいまでは自分の作るものに対しほとんど行っていません。作品の中に一般的な倫理観を求めていませんし、むしろそこからはみでているから面白いと考えています。子供の発想が自由である理由の一端はここにあります。

楽しいもの、明るいものと同じくらい怖いもの、暗いものへの子供の興味は尽きません。作品として表さなくても興味は常に持っていると考えた方がよいのではと思います。何か問題があるのではと考えてしまいがちですが、子供は様々な発散の仕方でバランスをとっています。どこで何を発散しているかという配分は常に変わっていて、物を作るという表現方法に、今どの部分が出てきているかというだけといえます。柔軟にバランスをとれるようにするには表現する際の制限を極力設けないのがポイントでしょうか。自分のどの部分を出しても良いのだと思わせ続けるのが肝心だと思います。




現在決まっている予定です。
お問い合わせお申し込みは各主催者へ(クリックでリンクします。)
お願いいたします。各種個人グループレッスン、パーティ、イベントへの出張レッスンは
onarakai@hotmail.co.jp
までご連絡ください。








2.5歳〜6歳
年齢により2クラス分けてあります。
10時〜
11時50分〜


4月19日
青空アート教室
「輪ゴムで進む船をつくろう」
品川中央公園
14時〜
詳細お問い合わせください。

4月27日
「版画を体験してみよう」

5月24日
「色彩パズルを作ろう」

6月22日
「段ボールでワニを作ろう」





3歳以上
14時〜白金台いきいきプラザにて

3月30日
「ステンシルで作るバック」

4月26日
「あやつり人形を作ろう」





3~6歳
年齢によるクラス分けあり。
詳細はお問い合わせください。

4月20日
「ゴムで飛ばす飛行機」
 
5月18日
「内容未定」

6月15日
「内容未定」